人材育成・採用
ソシオネクストグループは、最先端のSoCソリューションビジネスを通じて、ステークホルダー(お客様、パートナー、社員、地域社会など)のさまざまな期待/要望にお応えするため、最先端技術を追求することで、世界のイノベーションを支える会社として持続的な成長を目指しており、そのために必要となる、仕事にオーナーシップを持ち、自律的/意欲的にあるべき姿にチャレンジするプロフェッショナルな人材の育成に取り組んでいます。
人材採用
当社グループでは、優秀な人材を獲得するために、以下のとおり、新卒採用活動、経験者採用活動の取り組みを強化しています。国内においては、2025年3月期に36名の新卒入社社員と、32名のキャリア採用者を迎えています。今後もさまざまな採用手法を活用しながら、より多くの優秀な人材の獲得に取り組んでいきます。
(1)新卒採用活動
新卒採用活動においては、学生の皆様の希望/能力にマッチした採用とすべく職種別採用を導入しています。また、当社事業と親和性の高い研究を実施している大学への「研究室訪問」、当社開発業務を1日体験していただく「1day仕事体験」、会社見学や先輩社員との懇談を行う「オープンカンパニー」を通じて、350名程度の学生と密にコミュニケーションをとるとともに、理系学生が登録するダイレクトリクルーティングツールを活用し、当社の事業/開発活動と親和性の高い優秀な学生を一人でも多く採用することに努めています。
(2)経験者採用活動
経験者採用活動においては、10数社の人材紹介会社、ダイレクトリクルーティングツールやリファラル採用制度を活用し、当社事業・開発業務にマッチした専門性の高い即戦力となる人材獲得に努めています。また、過去に当社グループに勤務経験のある方を対象としたアルムナイ採用も実施しています。
| 採用人数 | 実績 | ||
|---|---|---|---|
| 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | |
| 新卒採用(人) | 12 | 26 | 36 |
| キャリア採用(人) | 32 | 39 | 32 |
人事制度・評価制度について
当社では、優秀な人材を積極的に処遇するため、人事制度改革に取り組んでいます。2023年3月期以降、当社では職能資格制度から役割等級制度へ移行し、それに伴い報酬制度も変更しました。従来の職能資格制度では、勤続年数に応じて報酬が上がる傾向があり、若手社員が高い成果を出しても報酬に反映しづらく、昇格にも一定の年数が必要となるという課題がありました。
ビジネスモデルの変化、グローバルビジネスの拡大、最先端の技術革新など事業状況や当社グループを取り巻く環境は変化しています。従来の職能資格制度では、これらの変化に応じて貢献する人材を柔軟に処遇することが難しいと考え、役割等級制度に移行しています。これにより、年功序列を排除し、年齢や勤続年数に関係なく、役割と責任とその成果に応じて優秀な人材を積極的に登用、採用を進めています。
なお、役割等級制度として、当社では「エンジニア人材」と「エンジニア以外の人材」のそれぞれに対して異なる人事制度を採用しています。
(1)エンジニア制度
当社は、エンジニアが生き生きと働ける環境とするため、エンジニア組織をフラット化することで、柔軟にプロジェクト編成を行うとともに、エンジニアが開発に専念できる環境づくりを行っています。また、エンジニアに対する報酬制度、評価制度については、求めるエンジニア像を明確にし、エンジニアの役割に応じて、開発における成果、技術スキルなどを客観的にポイントで評価し、年齢や経験に関係なく、役割/責任と成果に応じて相応しい処遇を実現する制度を導入しています。
さらに、エンジニア一人ひとりが定期的に上司との1on1面談を実施しており、自身のキャリアパスおよびその実現に向けた具体的なアクションを共有することで、個人の成長をサポートしています。なお、従来は年に1度、社員の昇格/降格を実施していましたが、エンジニアがより活躍できる会社とするため、2026年3月期より、一定の条件を満たし、上位等級における事業への役割や貢献度が認められるエンジニアは、随時昇格できる制度としています。
(2)プロフェッショナル制度(エンジニア以外の人材に対する人事制度)
当社は、エンジニア以外に対しても、年齢や経験に関係なく、役割ごとの責任と成果や行動姿勢に応じて優秀な人材を処遇するプロフェッショナル制度を導入し、自律的かつグローバルに行動できるプロフェッショナル人材を積極的に処遇しています。
(3)社内公募制度
当社は、社内キャリアの選択の機会を拡大させ、社員が個々の強みを最大限発揮できる環境へシフトできるように社内公募制度を導入しています。
人材育成に関する主な取り組み
(1)エンジニア向け教育
(i)求める人材の明確化
当社グループは、エンジニアの育成を重要な経営課題の1つと考えています。当社グループは、中期事業計画において、AD/ADASや車載センシングなどの「オートモーティブ」、データセンターやAIアクセラレータなどの「データセンター/ネットワーク」、アクションカメラやネットワークカメラなどの「スマートデバイス」、FA(Factory Automation)機器や計測器などの「産業機器」の各領域を中心に事業規模の拡大を計画しています。これらの事業領域において、お客様は、SoCのアーキテクチャーに対する知識はもとより、SoCが搭載される最終製品やサービスに関する高い知見、および差別化を可能とする先端のハードウェアからソフトウェアに至るまでの技術を組み合わせて最適なソリューションを提案できるパートナーを求めています。このような「Solution SoC」ビジネスモデルの実現には、以下のようなエンジニア人材が必要になると考えます。
グローバルに開発競争力を維持し続けるためのメソドロジスト
お客様の要求に基づき最適なSoCアーキテクチャー仕様を提案/策定できるシステムアーキテクト
アーキテクチャー仕様から実装仕様作成、設計を行える各分野のエキスパート
お客様からの信頼を得て、開発を円滑にゴールに導くプロジェクトマネジャー
(ii)求める人材に必要となるスキルの明確化
必要とされるエンジニア人材の拡大を図るために、当社グループは、必要なスキルおよび経験を明確に定義し、エンジニア一人ひとりが保有するスキルなどの可視化に取り組んでいます。
[エンジニアロールモデルとスキル/重要度のマトリクス]
【重要度】
a :特に高い専門性を保有
a-:指定スキル(a-)のいずれかで特に高い専門性を保有
b :基礎技術を活用し応用できる
b-:指定スキル(b-)のいずれかで基礎技術を活用し応用できる
c :基礎技術を保有
(iii)スキル習得に向けた人材育成プログラム
当社グループは、エンジニア育成の一環として、エンジニア一人ひとりが上司との1on1面談を実施する制度を設けており、自身のキャリアパスおよびその実現に向けた具体的なアクションを共有することで、個人の成長をサポートしています。また、エンジニア一人ひとりが求められる人材に必要なスキルおよび経験を確実に身に付けるために、エンジニアのレベルに応じた教育プログラムを策定/実践しています。さらに、海外のお客様、海外パートナーとのビジネスを進めていくうえで欠かせない語学/コミュニケーションスキルについても、教育支援体制(語学/コミュニケーションスキル育成のプログラム)を強化しています。
[エンジニア育成のロードマップ]
[語学/コミュニケーションスキル育成のプログラム]
| リーダー層向け |
コミュニケーションスキル上級(1on1研修) グローバルマインド研修(グループ研修) グループコーチング研修 |
| 一般社員向け |
コミュニケーションスキル初級(グループ研修) グローバルマインド研修(グループ研修) 英語運用力研修 新入社員向け語学研修(グループ研修) |
| 全社員共通 |
基礎英語力強化(語学研修アプリ) |
[エンジニア教育の実施状況]
| エンジニア教育の実施状況 | 実績 | |||
|---|---|---|---|---|
| 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | ||
| 総教育時間(時間) | 21,000 | 19,500 | 18,900 | |
| エンジニア一人あたり | 教育時間(時間) | 14.4 | 13.2 | 12.8 |
| 投資額(万円) | 1.45 | 2.04 | 2.87 | |
(ⅳ)人材育成に関する指標/実績
中長期的には、さらなる海外商談の増加、最新の技術を提供するIPベンダーやツールベンダー、ファウンドリ、OSATなどのグローバルなパートナーとの協働が増加していくことが見込まれます。これらに対応していくために、多くのエンジニアに対し戦略的に海外ビジネスや先端テクノロジービジネスに参画する機会を増やし、エンジニアが得たノウハウ/経験を組織として蓄積/活用することを進めています。また、教育プログラムへのフィードバックも行い、教育プログラムの見直しを継続的に進めています。
| エンジニアのプロジェクト経験状況 | 実績 | 2030年までの 目標 |
||
|---|---|---|---|---|
| 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | ||
| グローバルプロジェクトの経験人数比率 | 72% | 82% | 87% | Over 90% |
| 先端分野のプロジェクト(7nm以細)の経験人数比率 | 61% | 75% | 82% | Over 90% |
これらの人材育成への取り組みによって、当社の基準を満たしたエンジニア(メソドロジスト、システムアーキテクト、エキスパート、プロジェクトマネジャー)は基準となる2023年3月期からそれぞれ増加しています。特にメソドロジストについては、リソースシフトおよび人材育成などの施策によって125ポイントの増加となりました。今後も前年比での指数改善を目標に掲げ、さらなる取り組みの加速を図ります。
[基準を満たしたエンジニアの推移]
| 基準を満たしたエンジニアの推移(2023年3月期の人員を基準(100)とした指数) | 実績 | 目標 | ||
|---|---|---|---|---|
| 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | ||
| メソドロジスト | 100 | 200 | 225 | 前年比での 指数改善 |
| システムアーキテクト | 100 | 118 | 141 | 前年比での 指数改善 |
| エキスパート | 100 | 101 | 105 | 前年比での 指数改善 |
| プロジェクトマネジャー | 100 | 97 | 115 | 前年比での 指数改善 |
(2)全社員向け教育/研修制度の実施状況
当社は新入社員/若手社員への研修として、モチベーションとスキルの向上を促し、早期に自律的な活躍ができる環境整備に取り組んでいます。入社後の導入研修に加え、入社後6ヶ月/1年/2年後にフォローアップ研修を行い、コミュニケーション力やコンプライアンスなどの基礎的なビジネススキルを養成するとともに、入社2年間を初期育成期間と位置づけ、それぞれの若手社員に応じた育成計画に基づき、先輩社員(トレーナー)の指導を受けながらOJTによって実務スキルと経験の向上を図っています。
加えて、管理職登用時には、役員との意見交換、集合研修、通信講座などを通じて、マネジメント、コミュニケーション、アカウンティングなどの管理職に必要な知識とスキルを習得する機会を提供しています。また、全社員を対象とした共通教育として、コンプライアンス、情報セキュリティ、インサイダー取引防止、ハラスメント防止、環境、購買取引、安全保障輸出関連法令などに関するeラーニングを毎年実施し、100%の社員が受講しています。さらに、グローバル人材の育成を目的として、TOEICの受験や語学学習アプリの利用支援など、語学力向上に向けた取り組みを推進しており、社員一人ひとりの語学力強化を図っています。
[教育/研修制度の実施状況]
| 教育/研修制度の実施状況 | 実績 | |||
|---|---|---|---|---|
| 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | ||
| 社員一人あたり | 教育時間(時間) | 11.8 | 11.3 | 11.7 |
| 投資額(万円) | 1.25 | 1.76 | 2.59 | |